農ログを読んでいる農家さんは、おそらく「自分の野菜、果物を、インターネット通販を利用して販売したい!」という方だと思います。
もちろん、農産物のネット販売は良い販路です。
しかし、他の販路を上手く使えば、より安定して売り上げを伸ばしていくことも可能になります。
理想は、複数の販路をバランスよく持つことだと思います。
今回の記事では、農産物の色々な販路と、それぞれの販路の特徴を紹介します。
これからネット販売に取り組む農家さんも、ネット販売だけに集中するのではなく、色々な販路に目を向けてみて下さい。
その上でネット販売を行えば、より広い視野で安定収益を目指すことができると思います。
1.農産物の色々な販路とその特徴
農産物の販路と聞くと、真っ先に思い浮かぶのはJA(農協)ですよね。
現在、農協に卸している農家さんは多いと思います。
しかし、農協だけに卸していると
- 販売価格が低い
- 農協の規格だけで判断されるので、こだわりが価格に反映されない
などの問題がある為、現在は農協以外の販売先を探す農家さんが増えています。
それでは、農協以外にどのような販路があるのでしょうか?
代表的な販路と、その特徴を下にまとめます。
販売先 | 特徴 |
---|---|
農協 |
|
生協 |
|
スーパー |
|
百貨店 高級スーパー |
|
インターネット通販 |
|
直売所 |
|
中小飲食店 |
|
他にもたくさんの販路がありますが、ここでは代表的なものを紹介しました。
農協やインターネット通販以外にも、様々な販路がある事が分かります。
また、販路によって、値段や、求められる品質などが大きく違います。
それぞれの販路に合った商品を販売していくことが、販路開拓の際には大切になってきます。
2.農産物の特徴によって適切な販路は違う
それでは、それぞれの販路に対して、どのような商品が適しているのでしょうか?
これは、要求される品質と生産量によって大きく分けられます。
下のイラストに簡単にまとめました。
例えば、
- こだわって作った高品質な野菜、果物は、百貨店やネット販売で高価格で販売
- 品質はそこそこでも、低コストで大量生産ができるのであれば、スーパーや食品メーカーで販売
が適しているということです。
逆に、商品と販路が合っていないとどうなるでしょうか?
品質の良くないものをネット販売で売っても、リピートされず、売上は上がりません。
こだわりの果物が、スーパーで他の果物と同じ値段で売られるのは、もったいないです。
このように、利益を出す為には、農家さんの作っている農産物の特徴に合わせて、最適な販路を選択することが大切です。
3.複数の販路を持つことが大切
色々な販路を紹介しましたが、農家さんは、自分の作っている農産物の量や品質に合わせて、複数の販路を持っておくのが良いと思います。
例えば現在農協に卸している農家さんが、その全量をインターネット通販で売り切ろうとするのは、なかなか難しいですし、リスクも高くなります。
現在の販路は確保したまま、高品質のものをネット販売で売っていく、というのが良いでしょう。
複数の販路を持っておけば、全体としての売上はあがりますし、どれか一つの販路がダメになっても他の販路がある為、安定度が増します。
自分の野菜、果物の特徴を踏まえて、バランス良く販売していきましょう。
4.どうやって販路開拓するのか
それでは、このような販路をどうやって開拓していけば良いのでしょうか?
色々な方法があると思いますが、農産物展示会に出展したり、直接連絡・訪問したりなど、やはり基本は直接会って売り込むことだと思います。
そしてそこで大切になるのは、商品の特徴を分かりやすくアピールする事です。
自分の野菜、果物の特徴は何で、どういう良さがあるのか、相手にちゃんと理解してもらう必要があるのです。
しっかり自分の農産物を分析し、その販路に適したアピールポイントを考えておきましょう。
どの販路も、簡単に開拓できるようなものではないと思います。
しかし、自分の農産物の強みを活かして、販路を拡大させている農家さんもたくさんいます。
努力と工夫をすれば、どの農家さんにも、販路拡大のチャンスはあるのではないでしょうか。
ちなみに、宣伝になってしまいますが、私達農ログも、ネットショップ作成を始め、農家さんのネット販売を手助けしています。
新たな販路として、ネット販売を検討している農家さんは、ぜひお問合せ下さい。
農家さんが安心してネット販売にチャレンジできるよう、全力でサポートいたします。
5.ネット販売と他の販路との兼ね合い
インターネット通販と他の販路の兼ね合いを考えたときに、一つだけ気を付けたい事があります。
それは「オンリーワンのブランド農産物として取引先に卸しているものを、同じブランド名でネット販売する事」です。
取引先百貨店などが、オンリーワンのブランド農産物として消費者に販売している商品があるとします。
それと全く同じものが、百貨店よりも低い価格でネット販売されているとどうでしょうか?
取引先にとっては、あまり嬉しい話ではないですよね。
このような時は、少し注意をしておいた方が良いです。
農家直送で鮮度が高い分、取引先の販売価格よりも高い価格で売ったり、新しく商品開発して、別ブランドで販売するなど、売り方を変えた方が良いでしょう。
とはいえ、大切な取引先です。ちゃんと話し合いをして、納得をしてもらった上で販売するようにしましょう。
適当なことをして、信用を無くしてしまう事は絶対に避けなければいけません。
ただ、上記の話は、ブランド農産物として取引先に販売している場合です。
現在の取引先に、オンリーワンブランドとして販売していないのであれば、ネット販売を始めたからといって注意される可能性は低いでしょう。
もし農協と全量出荷契約をしている場合は、ネット販売に限らず、どの販路でも問題になってしまうので、注意が必要です。
6.まとめ
野菜、果物の販路として、複数の販路を持っておけば、全体としての売上はあがり、安定度が増します。
また、それぞれの販路で求められる品質や生産量は大きく違います。
「こだわりの野菜、果物であれば、百貨店やネット通販」というように、自分の作っている農産物の特徴に合わせた販路を選ぶようにしましょう。
どの販路も簡単に開拓できるものではないと思います。
しかし、自分の農産物の強みを見つけて、それに合った販路を開拓することは、これからの農業経営にとって大切な事だと思います。