自分の作っている農産物は、ネット販売で売れるのか?
ネット販売を検討する時に、農家さんがまず悩むことだと思います。
どんな農産物でもネット販売で売れるかというと、そんなことは無く、向き不向きがあります。
ネット販売に不向きな農産物では、やはり利益を出すのは難しくなってきます。
とはいえ、ネット販売で売れる農産物のハードルはそんなに高くはありません。
自分の農産物がネット販売で売れるのか、不安に感じている農家さんは、ぜひこの記事を最後まで読んでみて下さい。
きっと、どんな農産物がネット販売向きなのか分かると思います。
1.農産物にはそれぞれに合った販路がある
最初に結論から言うと、農産物のネット販売では、農家さんが自信を持って出荷できる、高品質・高価格の農産物が適しています。
実は、作物や品種の差は、あまり問題ありません。
売り方を工夫すれば、だいたいどんな作物・品種でもネットショップで販売することはできると思います。
それよりも大切なのは、高品質な農産物であることです。
農産物は、その品質や生産量によって、それぞれに合った、適切な販路があります。
農産物の販路の例を以下に示します。
※ここでの高品質とは、味や見た目が良い事を高品質と言っています。
例えば、百貨店では高くても良いから、味や見た目の良いものが好まれます。
逆に、安売りのスーパーでは、とにかく安い野菜・果物が必要です。
それぞれの販路によって、お客様が欲しがるものは違うため、それに合った農産物を販売する必要があります。
このような観点から見たとき、ネット販売は、高品質・高価格の農産物を販売するのに適した販路なのです。
上の図は藤野直人著「本気で稼ぐ!これからの農業ビジネス」のp.43のグラフを改良して作成しました。
ネット販売についての本ではないですが、これからの農業を考える時にとても参考になる本です。興味がある農家さんは読んでみる事をお勧めします。
2.なぜネット販売では高品質な農産物が良いのか
それでは、なぜネット販売では高品質な農産物が良いのでしょうか?
この理由は下記の3つが挙げられます。
価格競争に陥らない
「訳有り品」などで、低品質なものを低価格で販売する方法もあります。
しかし、これではお客様はどの農家さんから買っても同じという事になり、価格競争になってしまいます。
価格競争になってしまえば、最終的には低コストの大規模農家さん以外は勝ち残れません。
リピート購入してもらえる
ネット販売では、お客様からのリピート購入が重要です。そしてリピート購入してもらう為には、お客様から「あなたの作った野菜・果物が欲しい」と思ってもらうことが第一です。
その為には、低品質・低価格ではなく、多少高くても、お客様が喜んでくれる高品質な野菜・果物であることが必要です。
農家さんのこだわりをアピールしやすい
ネットショップでは、農家さんのこだわりや農産物の良さなどを、お客様に十分アピールできます。
その分、高品質・高価格の農産物を販売しやすくなります。
このような理由から、農産物のネット販売では、高価格・高品質な農産物が適しているといえます。
訳有り野菜を低価格で販売するというのも、それはそれで一つの販売戦略であり、やり方によっては利益を出すことも可能かもしれません。
しかし、こだわりを持って生産している農家さんにとっては、ここで紹介したような、高品質・高価格でのネット販売が最適だと私達は考えています。
3.どれくらい高品質である必要があるの?
「ネット販売では、高品質の農産物が良いのは分かった。でもどれくらい高品質な農産物だったら売れるの?」
これに対する農ログの考えとしては、
- 知り合いに食べてもらった時に、「おいしい!」「また欲しい!」という感想をもらう事がある
- 農家さんが自信を持って販売できる野菜・果物である
この2つを満たす野菜・果物であれば、ネット販売で売っていくことは、十分可能だと思います。
どうでしょうか?意外とハードルが低い気がしませんか?
このように言うのにはもちろん理由があります。
日本一甘い果物である必要はない
みかんの例であれば、「甘いみかん」が好きな人もいれば、「酸っぱいみかん」が好きな人もいます。
日本一甘いみかんである必要はありません。
あなたのみかんをおいしいと感じてくれるお客様に、購入してもらえば良いのです。
あなたの周りの人が「おいしい」と言ってくれる野菜・果物であれば、同じように感じる人は必ずいます。
ネット販売では、日本中の人がお客様です。
あなたの農産物の特徴・こだわりをしっかりアピールし、その価値を認めてくれるお客様とつながる事が大切なのです。
「農家さんが自信を持っている農産物であれば、正しいやり方でネット販売を行えば売れる」これが農ログの考えです。
日本一甘いみかんである必要はありませんが、そのような明確な特徴のある農産物は売りやすいです。
味や見た目の特徴でもいいですし、農作業のこだわりでもいいです。何かその農産物ならではの特徴があれば、グッと売りやすくなります。
4.どれくらいの価格で販売すれば良いの?
どれくらいの価格でネット販売を行うか、悩むポイントだと思います。
ここでは、(農産物の種類や競合のネットショップにもよりますが)まずは農家さんの労力に見合った価格をつけるのが良いと思います。
無理して安売りしても農家さん自身が苦しくなりますし、価格競争に陥ってしまいます。
そうではなく、農家さんのこだわりをしっかりアピールし、高価格・高品質として販売する方が良いでしょう。
一つの参考として、農産物を直売所で販売しているのであれば、その値段よりも、少し高いくらいが良いと思います。
直売所まで来てもらえれば安く販売できるが、ネット販売は手間がかかる分直売所よりも値段が高くなる、というのは、お客様にとっても納得できる理由だと思います。
まとめ
農産物のネット販売では、高品質・高価格のものが適している、と言えます。
もう少し具体的に言うと
- 知り合いに食べてもらった時に、「おいしい!」「また欲しい!」という感想をもらう事がある
- 農家さんが自信を持って販売できる野菜・果物である
このような農産物であれば、その農産物の魅力をしっかりお客様にアピールする事で、十分売ることが可能です。
また、販売価格については、安売りはせず、農家さんの労力に見合った価格をつけるのが良いでしょう。
ネット販売は、お客様と直接つながることができる販路です。
低価格だけで勝負するよりも、農家さんが自信を持てる野菜・果物を提供しましょう。
その野菜・果物に感動し、農家さんのファンになってくれるお客様と出会えると思います。