「いつか自分の野菜、果物をブランド化したい!」
そう考えている農家さんは多いのではないでしょうか。
ブランド化に成功すれば、色々な販路で高く販売することができます。
もちろんネット販売でも安定した売上が期待できます。
しかし実際の所、ブランド化なんて個人では無理だと思っている農家さんもいると思います。
はたして、個人農家さんにとって、ブランド化は不可能な事なのでしょうか?
今回の記事では、農産物のブランド化について、農ログの考えと、ブランド化の方向性について紹介します。
1.農産物ブランド化の事例
農産物のブランド化の事例として、まず思いうかぶのは、「博多あまおう」や宮崎マンゴー「太陽のたまご」だと思います。
どちらも全国的な知名度を誇り、百貨店でも高値で販売される、まさに高級ブランドです。
これらのブランドが成功した背景には、
博多あまおう
5年間もの歳月をかけて品種改良を行い完成。JAを中心に広告などでアピールを行い、ブランド化に成功。
太陽のたまご
10年以上の試行錯誤の上で完成。味が評判になる+東国原知事による全国アピールで圧倒的なブランドに。
上記のように長年に渡る農家さんの努力や、強力なバックアップがあって成功につながっています。
どちらも農産物ブランド化の素晴らしい成功事例だと思います。
しかし、このような事が個人の農家さんでできるかと言われると、現実的に難しい気がします。
じゃあ結局個人で農産物のブランド化をするのは無理なんじゃないか、という話になってしまいますが、そんな事はありません。
2.個人の農家さんが目指すべきブランド
「博多あまおう」や「太陽のたまご」は、誰もが欲しがる高級ブランドです。
しかし、個人の農家さんが目指すのはそのような高級ブランドではなく、安心感、信頼感があり、おいしくて生産者の顔が見えるブランドだと思います。
ブランドは何も、全て高級である必要はないのです。
高級でなくとも信頼感があり、毎年出荷シーズンになったら、安心してお客様がリピートできる、そのような野菜、果物は立派なブランドではないでしょうか。
世界トップのブランドは何?
ここで一旦、農産物以外のブランドの例を紹介します。
皆さんは世界一のブランドってなんだと思いますか?
メルセデスベンツ?BMW?ルイヴィトン?
実はこの3つとも、世界のトップ5にも入ってないんです。
ブランドを作る専門の会社による、2016年のブランド価値ランキングは以下のようになっています。
順位 | ブランド名 |
---|---|
1位 | アップル (iPhoneを作っている会社です) |
2位 | グーグル |
3位 | コカ・コーラ |
4位 | マイクロソフト |
5位 | トヨタ自動車 |
このランキングは、アメリカにある世界最大のブランディング会社である、インターブランド社が発表した、2016年のブランド価値ランキングです。6位以降に興味がある方は、こちらから確認することができます。
1位は、有名なiPhoneを作っているアップル。
そして意外かもしれませんが、3位にはスーパーや自販機で見かけるコカ・コーラが入っています。5位には日本のトヨタ自動車。
ちなみにメルセデスベンツは9位、BMWは11位です。
冒頭に述べたメルセデスベンツのような高級ブランドよりも、トヨタ自動車やコカコーラの方がブランド価値が高い!というのがブランド専門家の意見なのです。
農産物のブランド化はトヨタ自動車や、コカコーラを目指すべき
それでは、農産物のブランド化の話に戻ります。
「博多あまおう」や「太陽のたまご」は、上の例で言えば、メルセデスベンツや、BMWだといえます。
誰もが憧れる高級ブランドで、百貨店でも高値で売られる。もちろん素晴らしいブランドです。
しかし、個人農家さんが目指す方向としては、トヨタ自動車や、コカコーラのようなブランドではないでしょうか。
高級感ではベンツやBMWに敵わないかもしれないけど、安全、安心、信頼感では負けない。
安心して購入できて、どの一般家庭にもある。
農産物で言えば、高級百貨店で売られたり、マスコミで大々的にアピールされる事はないけど、毎年出荷シーズンになったら、お客様が安心、信頼してリピート購入でき、一般家庭の家族の楽しみになる。
個人農家さんはこのようなブランドを目指すべきだと思います。
3.個人農家さんのブランド化成功事例
それでは、個人農家さんでこのようなブランド化の成功事例はあるのでしょうか。
農ログでも何回もご紹介している「寺坂農園」さんは、個人農家さんのブランド化の素晴らしい成功事例だと思います。
その寺坂農園さんが著書「直販・通販で稼ぐ! 年商1億円農家」の中でこのような内容を書いています。
農園が火事になった時は、顧客リストをまず最初に取りに行く。
もし農機具や施設を焼失しても、顧客リストさえあれば復活できる。
寺坂農園さんはメロン農家なのですが、そのメロンの施設が無くなってしまっても、復活できると言っているのです。
これはまさにブランド力そのものです。
お客様は寺坂農園というブランドを信用している
お客様は、メロンではなく、「寺坂農園さんのメロン」が欲しい。だからお客様とのつながりさえ残っていれば、どのような状況になっても復活できる、そういうことだと思います。
もっと言えばメロンである必要もないのかもしれません。
「寺坂農園さん」であれば安全、安心だし、おいしいのも間違いない、だから「寺坂農園さんの農産物」が欲しい。
このように思ってもらえているのですね。
お客様は寺坂農園というブランドを信用しているという事です。
寺坂農園さんは、百貨店で販売されているわけでもなく、マスコミでの大々的なアピールも行っていません。それでもブランド化に成功し、安定した売上を確保できています。
このような、農家さんの顔が見える安心や、信頼感をベースにしたブランドは、個人農家さんの得意分野です。
個人農家さんでも、十分ブランド化の可能性はあると思います。
4.どうすればブランド化できるのか
「じゃあ、ブランド化するには具体的にはどうすればいいの?」
この記事では、ブランド化の為に大切な事、どのような事を意識すべきかについて説明したいと思います。
寺坂農園さんはブランド化の為に大切な事は
- 目立つ
- 突出する
- 特化する
の3つだと言っています。(詳細はぜひ直接著書を読んでみて下さい。)
農ログはこれら3つに加えて、
- お客様の信頼・信用
がブランド化のポイントだと考えています。
目立って、突出・特化した農産物が、お客様に信頼・信用された時に、ブランドになるのだと思います。
ブランド化の具体的な方法やアイデアについては今後の記事でも紹介していきます。ぜひ楽しみに待っていてください。
5.まとめ
農産物のブランド化は、個人の農家さんにとって、遠い高級ブランドの世界ではありません。
安心感、信頼感があり、おいしくて生産者の顔が見えるブランドは、むしろ個人農家さんの得意分野だと思います。
もちろん農産物のブランド化は、簡単にできるようなものではありません。
長い時間と努力が必要だと思います。
しかし、高級ブランドでなくても、お客様に信頼されるブランドを作ることができれば、安定した収益につながります。
個人農家さんでも、農産物のブランド化を目標に、努力していく価値はあると思います。
補足
本日の記事は、農ログの意見、考えも含めて書きました。
違った考え方の人ももちろんいると思います。
一つの参考意見として読んでもらえれば幸いです。
また、少し宣伝になりますが、農ログ自身、現在農家さんたちと一緒に、農産物のブランド化を目指してチャレンジしている最中です。
ネット販売を通して農産物のブランド化にチャレンジしたい農家さんは、ぜひお気軽にご連絡下さい。