農産物のネット販売で安定した売り上げをあげるには、リピート販売が大切です。
とはいえ、売っている野菜の品質がいいというだけでは、お客様はなかなかリピート購入してくれません。
特に野菜や果物の場合、収穫シーズンが年一回のものが多いですよね。
ここが野菜、果物のネット販売の難しいところです。
お客様に来年もリピート購入してもらう為には、1年後にまたあなたのネットショップを思い出してもらう必要があるのです。
今回は、このような間が空いたお客様へリピート購入を促すのに効果的な、「ダイレクトメール」を紹介します。
ダイレクトメールとは、商品を買ってくれたお客様に郵送で送るチラシのことです。
ダイレクトメールは、あなたのネットショップで野菜、果物を買ったことがあるお客様に送るので、購入してもらえる可能性が高いです。
まだダイレクトメールを送ったことがない農家さんは、ぜひ送ることをおすすめします。
1.ダイレクトメールとは
ダイレクトメールとは、商品を買ってくれたお客様に送るチラシのことです。
DMと略したり、セールスレターといったりもします。
梨の農家さんであれば、ネットショップで買ってくれたお客様に、翌年、「今年も梨が実りましたよ~」とお知らせしたり、「梨ジュースの販売を始めました!」とお知らせして、商品の案内をします。
野菜や果物は、収穫シーズンが年一回のものが多いですよね。
お客様は商品を買った1年後に、あなたのネットショップをどれくらい覚えているでしょうか?
おそらく、よほどファンになってくれたお客様でないかぎり、多くのお客様は忘れてしまっています。
そのため農産物のネット販売では、収穫シーズン前に「ダイレクトメール」を送り、あなたの事を思い出してもらうのが、リピート購入を増やすのにとっても効果的なのです。
2.まず始めに気をつけておくこと
ダイレクトメールを送ろうと思ったら、送料や印刷代といった費用がかかります。
まず始めに、この費用に対して利益がちゃんとでるかを計画してから、ダイレクトメールを送るようにしましょう。
というのもダイレクトメールは、受け取ったお客様が全員、商品を注文してくれるわけではないからです。
送った枚数のうち、購入してくれた人数の割合を「レスポンス率」といいます。
(全部で100枚送って、20人が購入してくれたら、レスポンス率は20%となります)
このレスポンス率、どれくらいを期待できるのでしょうか?
実は、一般にダイレクトメールのレスポンス率は5~10%くらいだと言われます。
もちろん、野菜の値段、お客様のタイプ、ダイレクトメールの内容によってレスポンス率は変わってきますが、あまりに高いレスポンス率を期待して費用をかけすぎてしまうと、結果的に赤字になってしまうことも。
ダイレクトメールを送る前にしっかり計画を立てておくことが大切です。
レスポンス率5~10%と聞いて少ないと思ったかもしれません。しかしこれは他の広告媒体と比べてとても良い数字です。例えば、新聞の折りこみチラシのレスポンス率は平均が0.3%だと言われます。それにくらべると、ダイレクトメールのレスポンス率はかなり良い方ですね。
3.ダイレクトメールの中身
ここからはダイレクトメールの中身について説明していきましょう。
ダイレクトメールは封筒に入れて送るのが普通です。
封筒の中身は、よくあるものとして
- あいさつ状
- 商品紹介チラシ
- 申し込み用紙
- 返信封筒
- ニュースレター
- ちょっとしたプレゼント(かわいいシールや花の種など)
このように、いろいろな種類があります。
もちろん全部いれる必要はありません。お客様からたくさん反応をもらえるよう、自由に決めればOKです!
今回の記事では分かりやすいよう、チラシを一枚入れるだけの、かんたんなダイレクトメールを例にとって説明します。
サンプルのダイレクトメールがあるので、こちらを見てください。(クリックで拡大)
ポイント1.キャッチコピーの内容
チラシの一番上のキャッチコピーは、まず初めに目にする部分なので、最も重要です。
ここに何を書くかで、続きを読んでもらえるかが決まります。
ダイレクトメールは商品を一度買ってくれたお客様に送るので、ここには「〇〇農園の大切なお客様へ」と目立つように書きましょう。
こう書けば、このチラシがお客様のために届けた案内ということが一目でわかります。
ポイント2.文章の書き出し
ダイレクトメールの文章の書き出しは、あいさつから書くようにします。
普通の手紙を書くときのように、季節の話題やダイレクトメールを届けた理由を書きましょう。
もし、あいさつを省いていきなり商品の紹介をしたら、押し売りされているように思ってしまいます。
大切なお客様に送るのです。まずはあいさつからが礼儀ですよね。
サンプルでは、あいさつ文の横に顔写真をのせていますね。どんな人が野菜をつくっているか分かるので、お客様が安心できます。
また、手書き風のサインを入れるのも信頼が増し、人の温もりが伝わっておすすめです。筆跡をスキャナで読みとって貼りつけるか、手書き風のフォントを利用するといいでしょう。
ポイント3.商品の魅力をつたえる
ダイレクトメールの目的は商品を買ってもらうことです。
あなたの野菜が、「スーパーで売っている野菜とは違うんだ!」ということをしっかり伝えましょう。
サンプルでは、思わず欲しくなるような文章と写真をのせて、梨の魅力をアピールしています。
他にも、栽培の記録、農園のニュース、お客様の声、レシピなどを載せてもいいでしょう。
一方的に商品を勧めるだけでなく、お客様に喜んでもらえるようなダイレクトメールだと、きっと反応もよくなります。
ポイント4.注文方法はわかりやすく
注文方法はわかりやすく説明しましょう。
せっかく商品が欲しいと思っても、注文方法がめんどうで分かりにくいと、そこで買うのをやめてしまいます。
農家さん自身もそんな経験はありませんか?
サンプルでは、インターネット注文の方法を見やすくのせています。
長いURLをいちいち打ち込むのはめんどうなので、キーワード検索でホームページが開けるようにしています。また、注文ページまで迷わずいけるように、ネットショップの画像ものせました。
シンプルで分かりやすい説明になっていると思います。
ここで、もっと簡単にインターネット注文できる方法があります。
それは「QRコード」です。
パソコンをわざわざ起動しなくても、携帯やスマートフォンでQRコードを読み込めば一瞬で注文ページを開けます。パソコンよりだんぜん楽ですね。
(ちなみに、サンプルのQRコードは農ログのトップページが開きます。サンプルを印刷して試してみてください。)
ポイント5.注文方法は多いほうがいい
実は、注文方法はインターネットだけでなく、申し込み用紙やFAXなど、たくさんあったほうがレスポンス率が上がるといわれています。
きっと目のまえに申し込み用紙があったほうが心理的に行動しやすいからでしょうね。
「ネット販売に慣れてきたし、まだまだ余裕があるぞ!」という農家さんは注文方法を増やしてみてはどうでしょうか?
(参考記事:「農産物リピート販売アップ!ダイレクトメールで直接注文をもらう方法」)
サンプルのダイレクトメールでは、電話での注文をあえて断っています。収穫シーズンは農作業がいそがしく、なかなか電話にでられませんよね。農家さんの本業はおいしい野菜をつくることだと思います。無理のない範囲でネット販売に力をいれていきましょう。
4.ダイレクトメールの送り方
チラシと封筒のサイズ
ダイレクトメールを送るときは、郵便局の「定形郵便」が安くておすすめです。
定形郵便とは、最大の大きさが図のように決められた郵便物のことです。
ホームセンターや文房具屋さんで、「定形内最大(長形3号)」という封筒が売っているので、それを使いましょう。
いろいろな種類が売られていますが、おすすめは透明のクリア封筒です。
軽くて単価が安いし、中身が見えるので、ダイレクトメールでよく使われます。
ネットショップのお客様が増えてきたら、オリジナルデザインの封筒をつくってもいいですね。
そして、中に入れるチラシの大きさですが、定形内最大(長形3号)の封筒には、A4サイズの紙が3つ折りでちょうどぴったり入ります。
なので、ダイレクトメールの中身はA4サイズにしましょう。
封筒の重さ
定形郵便の料金は、表のように重量で決まっています。
重量 | 料金 |
25g以内 | 82円 |
50g以内 | 92円 |
※2017年3月時点の料金
封筒の重さがこれを超えないように、ダイレクトメールの中身を検討しましょう。
参考までに、クリア封筒にA4チラシ一枚を入れたときの重量は8gくらいです。まだまだ余裕がありますね。
宛名と切手を貼る
封筒の住所は手書きでもかまいませんが、「宛名ラベル」を使うと便利です。
宛名ラベルとは、コピー機で宛名を印刷できるラベルのことです。これにお客様の住所を打ちだして貼りましょう。
宛名ラベルはホームセンターや電気屋さんに売っています。
大きめのラベルにすれば、空いたスペースに農園のロゴを印刷することもできますよ。
そして「切手」も忘れずに貼りましょう。
最近の切手はシールになっているので、クリア封筒にも貼ることができます!
完成したダイレクトメールはこんな感じです↓
差出人が分かるようにしておこう
ダイレクトメールを送っても、お客様のところに届かないことがあります。
お客様が引っ越していたり、住所が間違っていたときです。
レスポンス率を正しく知るためや、届かないダイレクトメールを翌年も送らないために、封筒には差出人である農園の住所も書くようにします。
そうすれば、お客様に届かなかった時に、届け先不明で農家さんの所に返ってきます。
封筒の裏面に「差出人の住所」を書いておきましょう。
ちなみにクリア封筒を使う場合は、中身のチラシに農園の住所をのせて、外から見えるようにしておけばOKです!
(封筒の裏側から住所がみえるようにしておく↓)
5.まとめ
ダイレクトメールの中身と送り方を紹介しました。
うまくいくコツをかんたんにまとめます。
- 送った数のうち何通くらい注文が返ってきたら利益が出るのか、把握しておく
- あまり売り込みの雰囲気を出さない
- 野菜、果物の魅力をしっかり伝える
- 注文方法を分かりやすく書く
- 実際に送った後、レスポンス率をチェックし、改善していく
とはいってもいきなりレスポンス率の高いダイレクトメールを作るのは難しいので、まずは2~3件でも反応があればいいという気持ちで始めてみましょう。
毎回、少しずつ改善や工夫をしていけばいいのです。
ネット販売の売上が増えないと悩んでいる農家さん、ぜひ思いきってダイレクトメールを試してみてください!