農産物ネットショップでは、送料は無料がいいの?それともお客様から送料として請求すべき?
農家さんがネット販売を始める時に、よく悩むポイントだと思います。
確かに送料無料はお得に見えて、売れそうな気もします。
しかし、ネット販売では送料は大きいコストですから、安易に無料にするわけにもいきません。
送料設定は、ネットショップの売上・利益に直接関わってくるのです。
また、つい先日もヤマト運輸が送料値上げ方針を発表しました。
今後他社が追随するかは分かりませんが、ネットショップを運営する農家さんは、送料をどう設定すべきか、しっかり検討しておく方が良いと思います。
今回の記事では、ネット販売の送料をどう設定すべきか、有名農家さんや農産物以外のネットショップの事例なども紹介しながら検討したいと思います。
ネットショップの送料設定のパターン
野菜、果物をネット販売する際に、収益にダイレクトに響いてくる送料。
基本的に、送料は農家さんが自由に決めればOKです。
しかし、運送会社に支払う料金をそのままお客様に請求してしまうと、お客様にとって高く感じられたり、地域別の分かりにくい送料設定になってしまう事があります。
送料が原因で購入を見送る人もいるかもしれません。
ですから、しっかりと売上があがり、利益を得られるような送料設定をすることが大切です。
そこで、まずはどのような送料設定のパターンがあるのか、ネット通販でよく使われる送料設定を紹介します。
送料無料
送料を完全に無料にします。
ネットで買い物をするときに、大きく送料無料と書いてあると、お得な気がしませんか?
お客様が見たときに、最もお得感があるのはやはり送料無料です。
売上も上がりやすいでしょう。
しかし、これは完全に送料を農家さんが負担するという事です。
売上は上がるかもしれませんが、送料も増える為、トータルの利益がどうなるのかは注意が必要です。
送料の分を商品価格に含めればいいじゃないかと思うかもしれません。
しかしそうすると、結局商品価格が高くなってしまい、かえってお客様が割高感を感じる場合もあります。
かなり考えて価格設定する必要があるでしょう。
○○円以上お買い物で送料無料
一定金額以上買い物してくれたお客様は送料無料とします。
例えばアマゾンは2,000円以上で送料無料です。(2017年3月現在)
農産物のネット通販サイトでもよく見るパターンですね。
送料無料にする為に、お客様はまとめ買いや、大きいサイズのものを買いたくなります。
その為、お客様一人当たりの客単価が増える効果があります。
お客様としては、送料無料になってお得感があります。
買い物金額が大きいときだけ送料無料なので、農家さん側としても、負担は小さくなります。
非常に良い価格設定の仕方だと思います。
全国一律○○円
全国どの地域でも、同一の送料をお客様に請求します。
お客様からすると送料が分かりやすいというメリットがあります。
運送会社との契約が全国一律であれば良いのですが、そうでない場合は、農家さんにとって負担が大きくなり過ぎないように決めないといけません。
また、あまり高い送料を設定してしまうと、割高に感じられてしまします。
農家さんとお客様、両方にとってちょうどいい値段を設定する必要があります。
配送地域別に送料を設定
一般的に運送会社から請求される送料は、配送地域別に設定されています。
ですから、それをそのままお客様に請求します。
この場合、農家さんにとっては、送料の負担がなくなるので良いのですが、お客様にとっては、下記のようなデメリットがあります。
- 送料設定が複雑で分かりにくくなってしまう。
- 遠い地域の場合送料が高くなってしまう。
少し割引するなど、お客様が割高感を感じないような工夫をしたほうが良いと思います。
成功農園の送料設定
それでは実際に大手のネットショップや、成功農園さんはどのような送料設定にしているのでしょうか?
いくつかのネットショップの送料設定をまとめました。(2017年3月現在)
ショップ名 |
送料 |
amazon (大手ネット通販) |
代金2,000円以上で無料 2,000円未満は全国一律350円 |
ニッセン (大手通販) |
代金5,000円以上で無料 5,000円未満は全国一律390円 |
楽天 (ショッピングモール) |
送料無料から、地域別の送料設定まで店舗によって様々 |
観音山フルーツガーデン (和歌山の農家さん) |
代金7,000円以上で無料 7,000円未満は本州・四国・九州540円 北海道沖縄は要別料金 |
寺坂農園 (北海道の農家さん) |
地域別、サイズ別に送料設定 |
風来 (石川の農家さん) |
地域別に送料設定 |
ネットショップによって、送料設定は様々ですね。
完全送料無料としているところは、案外少ないという事も分かります。
それでは、このような実際のネットショップを参考に、農家さんがネット販売を始める時にどのような送料設定をすべきでしょうか。
基本的には農家さんが自分の考えで設定すれば良いのですが、ここでは農ログの考えを示します。
農産物ネットショップの送料設定
完全送料無料にする必要はない
上記の例を見ても分かるように、大手のネットショップを含めても、完全送料無料としているお店はあまりありません。
また、先日のヤマト運輸の送料値上げ方針は、マスコミでも大きく取り上げられました。
ネットショップで買い物をするお客様にも、「ある程度送料はかかるもの」という認識が広まっている事を感じます。
無理して送料を無料にしたり、商品価格に含めるよりも、ちゃんと送料としてお客様に請求する方が、お客様に対して誠実ですし、農家さんにとっても良いと思います。
お客様が納得できる送料を設定する
それでは送料はいくらが良いのでしょうか。
これはお客様の「お得感」「納得感」によります。
例えば2,000円の果物を買うのに、送料が1,500円かかってしまうと、どうしても送料を割高に感じてしまうと思います。
その野菜、果物の値段に合った送料を設定すべきです。
かなり感覚的なものですが、仮に2,000~3,000円程度の野菜、果物を販売するのであれば、送料としては、500~1,000円程度がお客様が納得できる範囲ではないでしょうか。
また、少し難しい話になりますが、送料を設定する時は、「あなたの野菜、果物がどの地域で売れやすいのか」を考えて設定すると、より効果的です。
例えば「みかん」であれば、生産は西日本が中心なので、売れるのは、あまりみかんが盛んでない関東地方が多い傾向にあります。
その為、みかんの送料を設定するときには、東京や、北関東に住んでいる人がお得感を感じられるような金額を設定すると良いでしょう。
送料を全国一律にするにせよ、地域別にするにせよ、あなたのネットショップがターゲットとしているお客様にとって、最も「お得感」「納得感」を感じてもらえるように設定しましょう。
運送会社との交渉も大切
ネット販売を始めて、ある程度以上の個数を発送するようになると、運送会社と個別に契約・交渉する事で、安い料金で発送できるようになります。
この交渉結果を踏まえて、農家さんにとっても、あまり負担が大きくならない送料をお客様に請求するようにしましょう。
もうすでに運送会社から特別料金表をもらっている農家さんもいると思います。しかし、発送数量が増えれば、更なる割引も可能になります。ネット販売を始めて、順調に発送数が増えてきたら、再度交渉してみても良いと思います。
まとめ
最後に簡単にまとめると、ネットショップでの送料設定のパターンとしては、以下のような設定が良く見られます。
- 送料無料
- ○○円以上お買い物で送料無料
- 全国一律○○円
- 配送地域別に送料を設定
農ログの意見としては、無理して送料無料にするよりも、ちゃんとお客様に送料として請求するのが良いと思います。
その際は、ターゲットとなるお客様の地域を考えた上で、そのお客様が「お得感」「納得感」を感じられる送料設定にしましょう。
運送会社は、近い将来値上げをしそうな状況にあります。
ネットショップを運営する際に、送料はますます重要になっていくでしょう。
今回の記事を参考に、野菜、果物の送料をどう設定するのか、検討してみて下さい。