農産物をブランド化できれば、ネット販売で安定した売上をあげる事ができます。
しかし、単純に野菜、果物をネット販売するだけでは、ブランドは生まれません。
ブランド化するには、押さえるべきポイントや、テクニックがあります。
実際、自動車や家電製品をはじめ、農業以外の分野では、製品をブランド化するための色々なテクニックを使っています。
もちろん、そもそも農産物がおいしいという事が重要ですし、ブランドを作るには長い期間と努力も必要です。
ですが、まずブランド化する為のテクニック・方法を理解することで、農産物ブランド化がぐっと近づきます。
今回の記事では、個人農家さんが野菜、果物のブランド化を行う為の、具体的な7つのテクニックを紹介します。
1.商品を絞り込む
皆さんが牛丼を食べたいと思ったとき、どのお店を思い浮かべますか?
おそらく近所の定食屋やファミレスではなく、吉野家などの牛丼チェーン店だと思います。
吉野家は、たくさんのメニューを出すのではなく、牛丼に特化しています。ですから、多くの人が「牛丼といえば吉野家」というイメージを持っているのです。
このように販売する商品を絞り込んだ方が、そのブランドへの信頼感はアップします。
農産物のブランディングのために大切な事は、まず販売する野菜、果物を絞り込むことです。
例えば、スイカをネット販売するのであれば、スイカや、スイカの加工品だけを販売するべきです。
スイカだけを販売しているネットショップと、スイカと野菜の両方を販売しているネットショップがあったとします。
「おいしいスイカが食べたい!」と思っているお客様にとっては、スイカだけを販売しているネットショップの方が信頼できると思います。
寺坂農園さんだって、メロン以外に野菜を販売しているじゃないかと思うかもしれません。
しかし、寺坂農園さんも最初はメロン専門の産直農家さんとして成功しています。
これからブランドを作っていく時には、何か一つに絞った、「専門家」であるべきです。
2.ナンバーワンになる
販売する商品を決めたら、次に、その商品のナンバーワンになれるように、売り方を考えます。
ほとんどの野菜、果物は既にインターネットで販売されています。
そんな中でナンバーワンなんか無理だと思うかもしれません。
そのような時は更に絞り込んで考えます。
例えばスイカであれば、スイカのネット販売を行っている農家さんは既にいますし、いきなりナンバーワンは難しそうです。
以下のように考えればどうでしょうか。
「熊本の農場から産地直送する、甘いスイカのナンバーワンネットショップ」
かなりナンバーワンが現実的になってきたと思います。
なぜ絞りこんででもナンバーワンになる事が重要かというと、ナンバーワンである事は非常にブランド力があるからです。
あなたなら、次のどちらのネットショップでスイカを買いたくなるでしょうか?
- 甘いスイカを産地直送で販売しているネットショップ
- 熊本の農場から産地直送する、甘いスイカのナンバーワンネットショップ
熊本のスイカが欲しい人じゃなくても、下の「熊本の農場から産地直送する、甘いスイカのナンバーワンネットショップ」で買いたくなると思います。
農家さんの自信のあるポイントで、ナンバーワンのネットショップを作りましょう。
3.一貫性を持つ
ブランドは短期間で作る事はできません。
ですから、長い期間にわたり一貫性を持って販売することが大切です。
ある時はこだわりの甘いスイカを販売して、またある時は訳あり品の低価格のスイカをメインに販売している。
このようなネットショップでは、お客様は何が売りのネットショップなのかが分かりません。
「熊本の農場から産地直送する、甘いスイカのナンバーワンネットショップ」を目指すのであれば、常に甘いスイカにこだわって運営していく必要があります。
それをずっと続けることで、「あのネットショップは、いつも熊本の甘いスイカを送ってくれる」、というイメージをお客様が持ってくれます。
4.簡単で覚えやすい名前を付ける
ブランド名は、誰でも覚えられる、簡単な名前である事が重要です。
「たかが名前のつけ方なんて、、、」と思うかもしれません。
しかし名前は思った以上に重要です。
好きなブランド、メーカーを教えて下さい、と聞かれたときに、どんな名前を思いうかべますか?
ヤンマー?クボタ?ホンダ?
いずれにせよ、簡単な名前のブランドやメーカーだと思います。
農産物であれば、「博多あまおう」「太陽のたまご」など、どれも簡単に覚えられますよね。
お客様が食べた感想を友人に話したくても、名前が分からなければ、「スイカがおいしかった。」だけになってしまいます。
ブランドとして評判が広がっていく為には、名前が簡単で覚えやすいことが重要なのです。
「トヨタの車は故障しない!」「ヤンマーのトラクターはエンジンにねばりがある!」
分かりやすい名前があるからこそ、このように評判が広がっていくのです。
「○○農園は、いつも熊本の甘いスイカを送ってくれる!」
このように名前付きで評判が広がるようになれば、ブランド化の成功は近いと思います。
5.競合を歓迎する
上でも書きましたが、ほとんどの野菜、果物は既にインターネットで販売されています。
その為、ネット販売を始めたくても、既に競合がいるから売れないんじゃないかと思っている農家さんも多いです。
しかし、ブランド化という意味では、同じ農産物を販売している競合は歓迎すべき仲間なのです。
熊本のスイカを例に取ります。
熊本のスイカを販売しているネットショップ、競合が増えると、それを見たお客様は「色んな農家さんがスイカを販売しているし、スイカといえば熊本なんだ!」というイメージを持ってくれます。
そして実際に購入して、おいしい熊本スイカを食べたとします。
そうなれば「スイカを食べるならネットで熊本スイカを買うのがいいよ!」このような評判が立ちます。
熊本のスイカ全体のブランドが高まるのです。
そしてその中で、「熊本の農場から産地直送する、甘いスイカのナンバーワンネットショップ」であれば、甘いスイカが好きな人の憧れのブランドとなるでしょう。
農業以外の例
トヨタ自動車1社で、現在のような「日本車といえば高品質」というイメージを作ることができたでしょうか?
おそらく、ホンダや日産等、トヨタ以外の多くの日本車メーカーが存在し、そのどれも品質が良かったからこそ、世界中で日本車は故障しない、品質が良い、というイメージになったのだと思います。
そしてその品質が良い日本車のトップメーカーとして、トヨタが世界中で高品質ブランドを得ているといえます。
6.高品質な農産物を作る
ここまではブランド化のテクニックを紹介してきましたが、もちろん高品質な農産物である事は必要です。
「熊本の農場から産地直送する、甘いスイカのナンバーワンネットショップ」であれば、ちゃんとお客様が食べて満足できる、甘いスイカでなければいけません。
農家さんが自信を持てるポイントでブランド化していきましょう。
7.真摯なお客様対応
品質の良い農産物を作り、ブランド化のテクニックを実行しても、お客様対応が悪ければ全てがだいなしになってしまいます。
ブランドは、お客様がどう感じるかという事が全てです。
お客様が感動するような顧客対応ができれば、あなたのネットショップに対するお客様のイメージは、ぐっと高まります。
実店舗をもたないネット販売であっても、メールや、商品に同梱するお礼状など、お客様と接する時はあります。
そのようなタイミングで、真摯にしっかりとした顧客対応を心がけましょう。
8.まとめ
最後に、農産物ブランド化のための、7つのテクニックをまとめます。
- 商品を絞り込む
- ナンバーワンになる
- 一貫性を持つ
- 簡単で覚えやすい名前を付ける
- 競合を歓迎する
- 高品質
- 真摯なお客様対応
もちろん、ブランドを作るには長い期間と努力も必要です。
これらのテクニックを意識した上で、しっかりとネットショップの運営を続けていけば、自然にブランド農園、農産物になっていくでしょう。