野菜や果物のネット販売を始める時に、知っておくべき法律や条令があります。
法律は「知らなかった」では済まないので、しっかり守らないと罰則の恐れもあります。
今回は、農家さんがネット販売を行う時に気をつけるべき法律・条例と、その対応方法について説明します。
とはいえ、野菜や果物をネット販売するときに守るべき法律は、そんなに難しいものはありません。
今回の記事をしっかりと読めば大丈夫です。
この記事を参考にして、「ウチは法律にのっとって営業しています!」と、自信を持ってネット販売を始めましょう。
1.野菜や果物のネット販売を始める際に、気をつけるべき法律・条例
それでは早速、農家さんがネット販売を始める時に気をつけるべき法律・条例を示します。
- ホームページ内に「特定商取引法に基づく表示」の記載が必要
- 加工品(ジャム等)を販売する場合は、保健所への届出・許可が必要
- 加工品(ジャム等)を販売する場合は、表示ラベルが必要
この3つに気をつけておけば、OKです。
よく、「プライバシーポリシー」というページを作って、プライバシーの保護について記載しているネットショップがあります。
これは、5,000件以上のお客様の個人情報を持っている企業の場合にのみ必要です。
ネットショップを始めて、いきなり5,000件以上のお客様情報を持つことはないので、現時点ではなくても大丈夫です。
ただし、プライバシーポリシーのページを作っておけば、それを見たお客様は、しっかりしたネットショップだなと感じるでしょう。信頼感につながるので、載せておいて損はありません。今回の記事とは外れるので、詳細は書きませんが、サンプルを公開しているサイトがあるので、参考にしてください。
では、それぞれについて、内容と、対応方法を説明します。
2.「特定商取引法に基づく表示」の記載
ネットショップで商品を販売する場合、「特定商取引法に基づく表示」をホームページ内に記載することが必要です。
名前が難しそうですが、記載すべき事項(販売者や販売商品など)が決められているので、それに従って記入し、ホームページに載せるだけです。
それでは、「特定商取引法に基づく表示」の書き方を、サンプルと共に説明します。
特定商取引法に基づく表示
販売業者 | スイカ農園 *会社化している場合は会社名、それ以外は販売者名を記入します。 |
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運営責任者 | 西瓜太郎 *会社の場合は代表者氏名、それ以外は上と同様、販売者名を記入します。 |
住所 | 〒861-○○○○ 熊本県熊本市○○○○ *事業所の住所を記入します。 |
電話番号 | 096-○○○-○○○○ *連絡のつく電話番号を記入します。 |
メールアドレス | suikadaisuki@○○○○.com *連絡のつくメールアドレスを記入します。 |
URL | http://○○○○○○.com *ホームページのURLを記入します。 |
販売価格 | 各商品ページをご参照ください。 *上記のように記入しておけばOKです。 |
商品代金以外の必要料金 | 消費税 送料(全国一律630円。商品5,000円以上の購入で送料無料。) 振込の場合、振込手数料、コンビニ決済の場合、コンビニ決済手数料 *送料や手数料の料金を記入します。 |
引き渡し時期 | 商品のお届けは注文確定後14日以内に発送 ※予約品、取り寄せ品は入荷次第即時発送 *商品の発送タイミングを記入します。 |
お支払方法 | 銀行振込・コンビニ決済・クレジットカード決済がご利用頂けます。 *支払い方法を記入します。 |
お支払期限 | お申し込み後7日を過ぎてもお支払いがなく、ご入金が確認できない場合はご注文がキャンセルになります。 *商品注文後の入金期限を記入します。 |
返品・交換・キャンセル等 | 商品発送後の返品・返却等はお受け致しかねます。 商品が不良の場合のみ良品と交換致します。 *返品の可不可、条件を記入します。 |
返品期限 | 商品到着後3日以内 *返品の期限を記入します。 |
返品送料 | 返品にかかる送料はすべて当店で負担いたします。お手数ではございますが着払いにて配送願います。 *返品の際の送料を記入します。 |
このサンプルに基づいて記入すれば、「特定商取引法に基づく表示」は完成です。
ホームページ内に、「特定商取引法に基づく表示」というページを作って、そこに記載しましょう。
3.保健所への届出・許可
農産物をそのまま販売する場合
よく農家さんから
「野菜や果物をネット販売するのに、許可や届出が必要ですか?」
と聞かれることがありますが、
野菜や果物のネット販売に、許可や届出は必要ありません。
安心して販売して大丈夫です。
農産物を加工し、ジャムや漬物などにして販売する場合
野菜や果物を加工し(ジャムや漬物など)販売する場合は、管轄の保健所への届出や許可が必要です。
どのような届け出・許可が必要なのか?
これは、実は加工品の種類によって違いますし、管轄している保健所毎にも違います。
ですので、加工品の販売を検討する場合は、まず地元の保健所に連絡して、聞いてみて下さい。
地元の保健所の電話番号は厚生労働省サイトより調べることが出来ます。
保健所に連絡すると、担当の詳しい方がいるので、聞けば丁寧に教えてくれます。
ネットの情報だけで判断せず、ちゃんと確認しましょう。
一つだけ基本的なことを説明すると、加工品を販売する場合、自宅の台所とは別で、加工品専用の台所が必要となる事が多いです。
場合によっては、設備投資が必要になる事があるので、加工品の販売を検討している農家さんは注意しておきましょう。
加工品の販売については、「ジャムを売るのに許可は必要?農産物加工品のネット販売に必要な許可」で詳細に解説しています。興味がある農家さんは読んでみてください。
4.食品表示ラベル
食品表示ラベルとは、スーパーなどで販売されている食品に貼られている、下の写真のようなラベルです。
農産物をそのまま販売する場合は、保健所への届出と同様、この食品表示ラベルは必要ありません。
ジャム等の加工品を販売する場合は食品表示ラベルが必要です。
ラベルに記載すべき内容は、加工品の種類によって違います。
食品表示ラベル例をまとめているサイトがありますので、このようなサイトを参考にしてみて下さい。
農産物直売所で販売する場合は、野菜や果物でもラベルが必要だったりしますが、インターネット販売では、現状必要ありません。
5.まとめ
農家さんがネット販売を始める時に気をつけるべき法律・条例をまとめると
野菜や果物をそのままインターネットで販売する場合 |
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野菜や果物をジャム等に加工してインターネットで販売する場合 |
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このようになります。
繰り返しになりますが、法律は「知らなかった」では済まないので、守らないと、業務停止等の罰則の恐れがあります。
そんなに手間のかかる事ではありませんから、しっかりルールを守ってネット販売を行いましょう。