ネットショップの印象は、載っている写真に大きく左右されます。
特に野菜・果物のネット販売は、食べ物を扱っている為、良い写真は売上アップにつながります。
また、一生懸命作った野菜・果物が、ホームページにおいしそうに載っていると、単純に嬉しいですよね。
でも、頑張って自分で撮った写真を見ると、イマイチだったりします。
普通のデジカメだから仕方ない、と思っている農家さんもいるかもしれません。
しかし、写真は基本の撮り方を押さえるだけで、普通のデジカメでも、十分良い写真を撮ることができます。
高いカメラを買わなくても、ネットショップの印象を良くする事ができるのです。
今回の記事では、カメラ初心者の農家さんに向けて、写真の撮り方の基本を説明します。
しっかり読んで、ネットショップの写真をレベルアップし、売上アップにつなげましょう。
1.高いカメラを買うよりも、写真の撮り方が大事
ネットショップ用の写真の場合、必ずしも高いカメラである必要はありません。
なぜなら、ネットショップでは、売れる商品写真が必要なのであり、きれいで芸術的な写真である必要はないからです。
もちろん、高いカメラの方が、キレイに撮れる分、写真で表現できることが広がります。
しかし、カメラ初心者の人の場合は、いきなり高いカメラを買うよりも、まず写真の撮り方の基本を理解する方が大切です。
基本的な撮り方を押さえれば、1~2万円の誰でも持っているデジカメでも、十分魅力のある写真を撮ることができます。
今回の説明で使う写真は、私の母(61歳)が持っていた、パナソニックの古いデジカメで撮りました。(DMC-FX60)
数年前に近所の電器屋で1~2万円くらいで買ったそうです。
これくらいのデジカメであれば、どこの家にもあると思います。
2.斜め上45度から撮影する
食品を撮影する場合は、斜め上45度から撮ると、おいしそうに撮れます。
人は普段料理を食べるとき、だいたい斜め上から料理を見ています。
その為、斜め上45度からの写真は、自分が食事をしている時の感覚に近く、現実味のある写真になります。
また、斜め上から撮影した方が、光や影がうまく写り、立体感のある写真に仕上がります。
上から撮ったみかん。立体感がなく、いまいちです。
斜め45度から撮ったみかん。立体感が出て、良くなりました。
撮りたい写真のイメージによっては、真横からのアングルが良い時もあります。斜め上45度というのは、あくまで基本なので、アイデアに合わせて色々試してみると良いでしょう。
3.フラッシュは使わない
カメラのフラッシュを使って撮影すると、不自然で、イマイチな写真になってしまいます。
フラッシュを使って撮ったみかんです。全くおいしそうにありませんね。
ではフラッシュを使わずにどうすればいいのでしょうか?
室内で写真を撮る時は、蛍光灯の光か、窓から差し込む太陽の光を使うようにしましょう。
野外での撮影も、太陽の光を利用します。
室内で蛍光灯の光だけで撮りました。フラッシュで撮ったものに比べるとずっと良くなりました。
カメラのフラッシュは使わない、という事をまず心がけて下さい。
4.逆光を利用する
下のイラストに、写真を撮る時の光の方向をまとめました。
どの光の方向で写真を撮れば良いと思いますか?
基本は順光だと思っている人が多いかもしれません。
実はこれは間違いです。
野菜・果物などの、食品は、逆光の方がおいしそうに撮れます。
逆光は影になるからダメだ、と思っている人もいるかもしれません。
しかし、影を上手く利用することで、立体感が出て、活き活きとした写真になるのです。
順光では影がない為、のっぺりとした印象になってしまいます。
順光で撮ったみかんです。悪いわけではありませんが、何とも普通の写真で、特においしそうにも感じません。
逆光で撮ったみかんです。順光のみかんと比べると、おいしそうに撮れています。
野菜・果物の撮影は、逆光がお勧めです。
※逆光で撮影すると、影が暗くなり過ぎる場合があります。それに対しては、次に説明する、露出補正機能を使えば、上手に撮れるようになります。
5.露出補正機能を使う
「デジカメの機能っていっぱいあり過ぎてよく分からない!」という人、多いですよね。
ですが全ての機能を使いこなす必要はありません。良い写真を撮るのに役立つ機能って、実はけっこう少ないです。
その中で、是非使って欲しい機能が、露出補正機能です。
おそらくどのデジカメにも付いているので、説明書を読んでみて下さい。
露出補正の数値を変更する事で、写真の明るさを変更できます。
今回使用したカメラでは、下のような画面で、-2~+2の間で露出補正を変更できました。(カメラによって調整できる範囲が違います)
露出補正をマイナスにしていくと暗くなり、プラスにしていくと明るくなります。
露出補正:-2露出補正:-1 露出補正:0 露出補正:1 露出補正:2
露出補正を変えるだけで、ずいぶん明るさが変わりますね。
露出補正を上手く使えば、暗いところでも、ちゃんとした写真を撮ることが出来ます。
数値の調整の仕方は、以下のようになります。
- 写真が明るすぎる時
→露出補正をマイナスする。 - 写真が暗すぎる時
→露出補正をプラスする。
特に逆光の場合、どうしても手前側が影で暗くなってしまいます。
そのような時に、露出補正で明るくすると、丁度良い写真が撮れます。
野菜・果物は、逆光で撮影し、露出補正をプラス側に補正する、というのが上手に写真を撮るポイントです。
6.商品を中央に置かない
実は、写したいものが真ん中にある写真は、あまり人の印象に残りません。
真ん中ではなく、少しずらすことで、印象に残る写真になります。
みかんをカットした写真です。カットしたみかんを中央から外すことで、こなれた印象の写真が撮れます。
キャッチコピーを入れれば、商品のイメージ写真の完成です。
どの位置にずらせば良いのかについては、色々な考え方がありますが、ここでは3分割法を紹介します。
下の写真をご覧下さい。
3分割法とは、このように、写真を縦横3分割し、その交点のいずれかに写したいものを配置する構図です。
この例では、カットしたみかんをメインで写したかったので、左下の交点にカットしたみかんを配置しました。
用途によっては中央配置でもOK
用途によっては中央配置が適している場合があります。
中央配置にすると、商品の全体像が分かり易くなります。
例えば、商品の説明用の写真は、商品全体がはっきり分かる必要があります。このような場合は、中央配置が適しています。
用途によって、以下のように構図を使い分けると良いでしょう。
- ネットショップのトップ写真やイメージ写真
→お客様の印象に残る3分割法 - 商品の説明用写真
→全体像の分かる中央配置
7.アップにして撮る
野菜・果物の最もアピールしたい所を、アップで撮ることで、印象に残る写真になります。
アップにする事で、余計なものが写らないので、本当にアピールしたい所がストレートに伝わります。
また、立体感が出て、迫力のある写真になるので、印象にも残り易いです。
カットしたみかんをアップで撮影しました。
商品説明ページで「果肉のつまったミカンです」と説明するときに、このような写真を載せれば、お客様によりアピール出来るでしょう。
アップの写真を撮る時は、デジカメのマクロモードで撮影すると上手く撮れます。
(これもどのデジカメにも付いている機能です。)
どのカメラでも、↓のような花のマークがマクロ機能を表しています。
今回のカメラでは、↓のボタンでマクロモードに切り替えができました。
8.シズル感を出す
シズル感とは、食べ物のおいしそうな雰囲気や、臨場感のことを言います。
果物であれば、表面や、切り口に水滴が付いていると、臨場感があってみずみずしく感じますよね。
臨場感のある写真にする事で、お客様の感情に直接訴えかけることができます。
例えば、先ほどのみかんのアップの写真に、シズル感をプラスしてみます。
通常のみかんのアップ写真
みかんの切り口に水をつけて、シズル感をプラス
どうでしょうか?2枚目のみかんの方が、みずみずしく、おいしそうに見えませんか?
やった事は、みかんの切り口に水をつけただけです。
このように、みずみずしさや、臨場感を出すと、野菜や果物がぐっとおいしそうに見えます。
今回はみかんの切り口に水をつけただけですが、アイデア次第でシズル感を出す方法はいくらでもあります。
例えばスイカであれば
- 水の中につける
- 背景に麦茶など、夏をイメージさせるものを入れる
などです。
あなたのアイデアで、シズル感のある写真を撮ってみて下さい。
9.お客様に伝えたい事を決める
ここまで、写真の撮り方の基本について説明してきました。
ではいよいよ撮影に、、、といきたい所ですが、写真を撮り始める前に、考えておくべき事があります。
それは、その写真で、お客様に何を伝えて、どう感じてもらいたいのか、という事です。
それによって写真の撮り方が変わるからです。
みかんであれば、
- 甘そうなみかん
- 爽やかなみかん
- 高級そうなみかん など
お客様にアピールしたいイメージがあると思います。
例えば、新鮮で、爽やかなみかんをアピールするのであれば、このような写真になります。
少し青みのある背景と白い皿で、爽やかさを表現。朝食のみかんのイメージ。
もし落ち着いた、高級そうなみかんをアピールしたければ、下のような写真が良いでしょう。
黒いお盆、湯のみ、木のスプーンで、落ち着いた高級感をアピール。
撮り方を変えるだけで、同じみかんが全く違う印象になる事が分かります。
お客様に伝えたい事を決めて、それが伝わるように写真を撮りましょう。
上の2つの写真は、ホワイトバランス機能を使って、色合いも変えています。ほとんどのデジカメに付いている機能なので、写真の色合いを変えたいと思ったときは、使ってみて下さい。
まとめ
この記事に載せている写真は、2万円もしないデジカメですべて撮影しました。
今回説明した基本を参考にして撮影すれば、ネットショップに使うには、十分良い写真が撮影できます。
それに、良い写真が撮れると、面白いし、楽しくなってきます。
皆さんも、自分のこだわりや思いの詰まった写真を撮って、ネットショップに掲載していきましょう。
農家さんの思いが伝わる写真は、きっと売上アップにもつながっていきます。