農家さんと話していると、「ホームページやネットショップは大規模農家さんが使うもので、小規模農家さんが導入するものではない」、というイメージを持っている農家さんが意外と多いです。
「ウチは規模が小さいからネット販売なんかできないよ。」
「個人農家でホームページは必要?」
という話を聞くこともよくあります。しかし、むしろ中小規模の農家さんこそ、ホームページでの情報発信やネット販売はやりやすいです。
ネット販売では、大規模農家さんよりも、中小規模の個人農家さんのほうが有利であり、主役なのです。
今回は、なぜ中小規模の農家さんの方がネット販売に有利なのか、その理由と、情報発信の重要性を説明したいと思います。
ネット販売では、大規模農家さんよりも個人農家さんの方が有利
人も資金もいっぱいある大規模農家さんよりも、なぜ個人農家さんの方がネット販売に有利なんでしょうか?
それは、ネット販売で売りやすい農産物が、少量生産の高品質・高価格のものだからです。
ネット販売で売りやすい農産物については、「私の作った野菜、ネットで売れる?ネット販売に適した農産物とは」で詳細に書いています。
ネット販売では、少量生産、高品質・高価格の野菜、果物を
「こんなこだわり、思いを持って作っています!」
「このイチゴにはこんな特徴があるんですよ!」
というように、こだわりや付加価値をもってアピールする事が必要です。
そこでは、「手作業」「手間暇をかける」といった、一見非効率に思えることが、強みになります。
このような内容は個人農家さんの得意分野ですよね。
大規模農家さんにこだわりがないというわけではありません。
しかし、大規模農家さんは、安定した品質の農産物を、納期に合わせて、大量に効率よく作る、という事が重要です。
その為、大規模農家さんのこだわるポイントは「安定品質」「安定供給」「コスト」などになります。
少量生産、高品質・高価格の野菜、果物とはちょっと違ってきますよね。
ですから、ネット販売で売りやすい、少量生産、高品質・高価格の農産物は、中小規模の農家さんの得意分野と言えます。
このような理由から、ネット販売では、大規模農家さんよりも、中小規模の個人農家さんの方が有利になってくるのです。
少量生産、高品質・高価格の製品は、小規模事業者のフィールド
少量生産で高品質・高価格のものは、小さい規模で作るほうが有利というのは、農産物だけの話ではありません。
例えば飲食店なども、こだわりのある高級レストランや高級すし屋は、オーナー経営の小規模のものがほとんどで、大量生産の大手チェーン店ではありません。
少量生産、高品質・高価格の製品は、こだわりのある小規模事業者のフィールドなのです。
大規模農家さんと中小規模農家さんは住み分けできる
最近の農業を取り巻く報道を見ていると、農地集約など、いかに大規模な農家さんを増やすかという事ばかりが言われている気がします。
もちろんそれも大切な事だと思いますが、上の例でも述べましたが、世界中のどんな産業を見ても、大企業だけで成り立っている産業なんかはほとんどありません。
大量生産を行う大規模農家さんと同様に、高品質・高価格のこだわりで勝負する中小規模の農家さんも、今後もっと必要とされるようになると思います。
高品質・高価格のこだわりをアピールするにはとにかく情報発信
では個人農家さんが、高品質・高価格の農産物をアピールしていくにはどうすれば良いのでしょうか?
それにはとにかく情報発信が大切です。
これは農ログの意見ですが、農産物ほど情報発信が重要な商品はない、と思います。
なぜなら、
- 農産物は見た目にあまり差がない
- 栽培方法や農家さんのこだわりは、情報がないと消費者は知りようがない
このような理由から、農産物の良さを消費者にアピールするには、情報発信するしかないのです。
情報発信できなければ、あなたがこだわって作ったみかんも、その他多くのみかんの中に埋もれてしまいます。
あなたがどんな思いで、どのように作ったみかんなのか、情報発信することで、他のみかんと差別化することができます。
差別化することができれば、高品質・高価格としてお客様にアピールでき、ネット販売でもしっかり売れるようになります。
インターネットが発達した現在、ホームページ等で情報発信はグッと簡単になりました。
中小規模の農家さんこそ、しっかりと情報発信をする事が重要です。
ホームページ等でのアピール方法は
「野菜・果物の魅力が正しく伝わるキャッチコピーの作り方」
「野菜・果物ネットショップの売れるデザイン!豪華じゃなくても大丈夫」
などの記事が参考になると思います。
最初はホームページでの情報発信だけならコストもかからない
高品質・高価格の農産物をアピールし、それを活かしてネット販売を行う、中小規模の農家さんにとって良い販路のひとつです。
しかし、そうは言っても、ネット販売は導入コストもかかるし、少しハードルが高いという個人農家さんも多いと思います。
そんな時は、いきなりネット販売を始めるのではなく、簡単なホームページを使って、自分の農産物の情報発信をするだけでも良いと思います。
Wix、JIMDO などを使えば、少し手間はかかりますが、無料でホームページを作ることもできます。
Facebookなどと連携すれば、自分の知り合いを中心に情報を届けることができます。
情報発信を続けることで、少しずつ自分の農産物のファンが増えるでしょうし、直売所などのアピールもできます。
農家さんがこだわって作った農産物です。他に埋もれないよう、少しずつでも情報発信していく事が大切です。
まとめ
ネット販売で売りやすい、少量生産、高品質・高価格の農産物は、中小規模の個人農家さんの得意分野です。
ホームページでの情報発信やネット販売は、大規模農家さんではなく、中小規模の農家さんこそ、活躍できるフィールドです。
現在は無料のホームページ作成サービスやFacebookなどもあり、簡単に情報発信できる環境は整っています。
いきなりネット販売はハードルが高いかもしれません。
しかし、情報発信していくだけでも、自分の農産物の価値やこだわりを広めることができます。
ハードルが高いなと感じている農家さんも、できる所から少しずつ情報発信していけばいいのではないかと思います。